エド×カペに挑戦してみる

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 カペルはエドアルドを見下ろした。彼はいい顔をするようになったとカペルは思う。
 あわや完全にリバスネイル化から復活した彼は、今までの自分を反省し、180度変わった。シグムント様の後継者は自分だと公言していた自己中心的な彼は消え去り、仲間を思いやれる本来の性格が表に見えるようになってきた。変わってからの彼を見ていると、シグムントを崇拝するあまりに、周りが見えなくなってしまっていたが、元はそうだったはずと思わせた。それだけ、シグムントの存在が大きかったとも言えるわけだが……。
「エドは大きくていいよね。」
「そうか?」
「うん。」
「お前だって小さくはないだろ。」
「小さくはないけど大きくもない。ユージンさんとかエドとか見てると、もっと大きくなりたかったって思うんだ。」
「ユージンさんはでかいな。」
「でかいね。魔術師なのに、でかいし、荷物が大きいし、バルバガンさんくらいスペース取ってるよ。あの人。」
「その言い方はどうなんだ……。」
 エドアルドが呆れている。
「だって事実だし。」
「そりゃそうだが……。」
 くっくっく……。図書室なので、二人は声をひそめて笑った。

 ハルギータの図書室。エドアルドは何処だろうと探していたカペルは、本と格闘している彼を見つけて声をかけた。自分と同じ年のエドアルド。戦いの息抜きに、いやらしい本でも見ているのだろう。彼の好みを知るのもいいかもしれないと思ったら、違うと怒られてしまった。真面目な彼は剣術指南の本を読んでいた。本はエドアルドの流儀に合わなかったらしく、彼は全く理解できないでいた。
 質問されたが、今は英雄代理で鎖の破壊者とはいえ、元は護身術程度の腕しかなかったカペルに理解できるはずもなく、本は片づけられて、低い声での雑談と変わっていったのだった。

 ユージンを肴に笑った後。
「ねえ、エド。」
「何だ。」
「エドはどんな女の子が好き?」
「女のことは良く分からん。」
「アーヤみたいな気の強いタイプがいいとか、おしとやかなタイプがいいとか……。」
 困っているようなので、例を出してみた。
「強いて言えば……お前だな。」
 真剣な顔だった。
「……僕?」
 カペルは、はははっと笑った。「顔はそっくりだけど、僕とシグムントさんは全然違うよ。」
「そんなことはお前より俺の方が知っている。」
「……そうだね。愛してたもんね。」
「愛してなどいない。あの方は越えるべき壁だった。俺が目指す姿。あの方のようになりたかった。」
「そっか。憧れであって、愛ではないんだね。」
「ああ。」
「どうして僕がいいの?」
 カペルはエドアルドの頬に触れた。「僕は男だよ?」
 顔を近づけたが、エドアルドは逃げなかった。どうやら先ほどの言葉は本気らしい。
「言葉と行動が合ってないぞ。」
 唇が離れた後、エドアルドが言った。
「それは……。」
 カペルは誘うように笑う。「今のエドはすごくいいから。エドになら、許してもいいかも。」
「女のようなセリフだな。」
「あれ、女のことは分からないんじゃなかったの?」
「……前から思っていたんだが、お前、黒いぞ。」
「境遇の割には真っ直ぐだと思うけどなあ……。」
「……。」
 ふざけたつもりだったのに、エドアルドが顔をしかめた。
「で、これからどうするの?」
 カペルは雰囲気を変えようと、明るい声を出した。
「どうとは……?」
「僕の部屋とエドの部屋、どっちがいいかなって。」
「……お前、随分と積極的だな……。」
「今のエドがいいからだってば。」
 カペルは微笑む。「あ、どうして僕がいいかの質問に答えてもらっていないよ?」
「……そうだな。今までの自分を反省してから、お前のことを考えたら、戦いなんて嫌だ、逃げるって言いながらも、随分と頑張ってるなと……。馬鹿な俺と違って、お前は立派にやってるなって思えたんだ。」
「……今度は僕に憧れてる?」
「それは違う。お前は頑張ってる。シグムント様の立派な後継者だと思う。それでも……それでも、素のお前は旅芸人だった頃のお前なんじゃないかと思うんだ。」
「……。」
 カペルは無言でエドアルドを見た。
「痛いのも戦いも嫌なのに、鎖を断つためにお前は頑張ってる。……だから……その……健気な部分がいいというか……。」
「肝心なところで口ごもらないで欲しいなあ……。」
 カペルは呆れながらも微笑む。「でも、良く分かったよ。」
「そ・そうか。」
「うん。」
 カペルは立ちあがると、エドアルドの手を引いた。「じゃ、行こうか。あ、エドの部屋がいいな。」
「普段、アーヤや他の女にデレデレしてるだけあって、積極的だな……。」
「嫌なんだ?」
「嫌じゃないさ。」
「それは良かった。」
 カペルはにっこり微笑んだ。





作者コメント
日常編にしか見えない……。妄想を働かせばカペエドには見えるかもしれない……。

書いた日09年10月3日
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