セラフィックゲート・エリア3

 カペルは、剣柄を握り締め立っていた。少し離れたところに、父シグムントが佇んでいる。
「父さん……。今度こそは……。」
 カペルは目を閉じて集中した。

 諸悪の根源だった赤き月の神ベラを倒し、ハイネイル達が眠りにつき、無事に月から帰ってきた……そんな未来の夢を見終わった後。物資の補給の為に、カペル達は一度ケルンテンへ帰ってきた。
 ケルンテンの城の中にある今まで使えなかったワープ装置。気になっていたので、ついでだからと乗ってみた。そうしたら……。セラフィックゲートという不思議な場所に訪れることになった。
 歯ごたえのある強敵、貴重なアイテム。それは、これからレオニードと戦う自分達には必要なものと考えられた。それで、水上神殿に向かうのを一時中断し、カペル達はその不思議な世界を攻略することにした。攻略を進めていくうちに、オラデア砂丘には二つのワープ装置が存在することに気づいた。ルセ平原に出られる、現実ではザラに繋がる道の近くにある装置。もう一つのワープ装置が、自分をヴェスプレームの塔の最上階へと連れてきた。シグムントが、自分を庇って死したあの忌まわしい場所。
 ここは現実とは違うと、割り切ろうとするカペルの目に、シグムントが立っているのが映った。
「父さん……。」
 何の幻かと目をこするカペル。しかし、何度見ても彼はそこにいた。喜びよりも、戸惑いがカペルの心を支配した。彼は息子である自分を庇って死んだのだ。命をかけても守るとの言葉通りに。それなのに……。それなのに、何故ここにいる? 生前と全く変わらない姿で。

 彼はカペルが心配の余り、死者の国へも旅立てなかったのだろうか? だから、思いを残したまま、死んだ場所にこうして立っているのだろうか?
 考えても分かるはずもない。カペルは一歩一歩進み、父に近づいた。
「わたしが相手をしよう。」
 父が剣を構えた。覚えているのはそれだけだった。

 それから、何度も父に挑戦しては負けるを繰り返している。ここに来られるのは自分だけ。父が想いを残して旅立てないのなら、強くなった自分を見せて安心させるしかない。仲間に頼っていては、父はここに留まったままになるのかもしれない。だから、自分しかここに来られないのは好都合だった。
 カペルは目を開いた。剣を構える。シグムントも剣を構えている。二人は鏡に映したかのように同じ構えをしている。自分が知らず知らずのうちに、彼と同じになったのだろう。ずっと、彼を演じていたから。
 カペルは走り出した。今度こそ、彼に認めてもらいたい。声を張り上げ、カペルは剣を振り下ろした。



シグムントとカペルの一騎打ち漫画に触発されて。
書いた日09年1月16日

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